深夜の地震と常磐線
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2021年3月5日
2月13日の午後11時過ぎに、10年前の東日本大震災の余震と思われる地震がありました。千葉県北西部も震度4ということでした。
初めに縦揺れがありその後横揺れに変わったのですが揺れている時間が長い地震でした。最も激しく揺れたところは、東日本大震災の余震ということもあり宮城県、福島県と10年前と地域が重なり、当時を思い出して怖い思いをされた方が多数いらっしゃっただろうと思います。10年経ち災害に備える意識がおろそかになり始めたところで、忘れるなとばかりに神様は酷なことをします。ケガをされた方は一日も早く回復することを心よりお祈りいたします。
建物、設備が故障して新幹線が不通になったり、停電したり、断水したりしましたが深夜の地震でありながら亡くなられた方がいらっしゃらなかったのは、すごいと思います。さすが日本だ。日本人だと思います。また10年前を教訓に早期に避難を終えた方も多くいらっしゃるようですので、それらには意地悪な神様も納得してくれるのではないでしょうか。(後にお亡くなりになられた方が一名いらっしゃる事がわかりました。心よりご冥福をお祈りいたします)
我が家では、娘以外はすでに就寝していたところを襲われました。長い揺れの中で階下で就寝している両親のことを考えているところに携帯からの激しい警戒音の発報で、念のため起きることにしました。それに前後して娘が起きてきて照明をつけて、揺れで廊下に出ていった愛猫キタを回収し抱っこして待機しています。テレビをつけてしばらく様子を見ていると、次第に揺れは収まっていきました。余震と呼ぶにはあまりに大きい地震です。
我が家の避難用具は分散していて屋外の物置にテント類があり、2階にキャンプ用のガス器具他を収納しています。食料関係は一階です。ある場所はわかっても誰が何をもって屋外に逃げるかとか何も決めていません。が、それは後の話でまずは、何も持たず速やかに屋外に集合が正解ですね。
最初は軽微と思っていた地震による東北新幹線のダメージはちょっと大きかったですね。でも東北を陸の孤島にしないように昨年3月に全線開通したばかりの常磐線が、微力ながらもしっかりカバーしていましたね。東北を関東とつなげる常磐線の補助的立ち位置の重要性を再確認された方も多かったのではないでしょうか。
中でもひたち22号はがんばりましたね。地震により被害を受けた東北新幹線の補助として、本来はいわき-品川間の特急運転のひたち22号に、仙台-いわき間の特急運賃のいらない快速運転区間を追加して仙台-品川間を一気に走る臨時列車として計画されていた2月15日の始発時間は13時57分発。
しかし悪天候に見舞われて遅れること4時間の18時前。この時間に出発しても何ら天候に問題がなければ22時30分過ぎには品川に到着できますが、そんなことが期待できる天候であれば定刻通りに出発していますので、まず無理と誰もが思ったことでしょう。
品川でも、上野でも乗り換えのできる時間に到着できれば予定より遅延しても極論、特急料金を払い戻せばいいだけですが、終電が終わり乗り換えができない場合、始発が運転されるまで乗客の居場所、安全を確保したり、そのための駅職員もゼロとはいきませんので人員の確保他イレギュラーなことが多々発生します。もちろん運転手の確保もそうです。
それらをJR支社間同士ですり合わせ、現場は問題のないように対応できる準備を整える。言葉で言うほど簡単なものではありません。もしかしたらひたち22号を走らせながらの対応だったのかもしれません。現場の仙台駅では、客からの要望があったとはいえ、出発が4時間遅れていて尚且つ、天候は悪くさらに遅延して連絡電車の無い翌16日深夜の品川着の危険性もはらむ状態で、運休の判断が出てもおかしくないにもかかわらず17時55分にひたち22号を出発させます。
乗客もアナウンスで品川についても電車が終わっていて動きが取れなくなる可能性があることを承知で乗り込みます。この時点でJR支社間同士でのすり合わせは、形になっていなくてもある程度進んでいたと思います。同時に、ひたち22号のこの日の運転収支は度外視になることも。腹を据えて乗り込んでくれる乗客がいるなら赤字になっても乗客の安全はきちんと担保して目的地に送り届ける。プライドもないただの拝金営利企業ではできない行動です。

ひたち22号は途中悪天候による徐行、運転見合わせを繰り返しながら変更になった目的地上野に到着したのは16日2時40分近くになっていました。上野駅と途中の2駅の計3か所で食料、マスクが配布され、上野駅では始発電車が動き出すまでの乗客の居場所確保で4時45分頃までひたち22号は留め置きされて列車ホテルとなりました。また、走行中のひたち22号の車内でのJR職員の方々の受験生に対する配慮も心温まる内容でした。どれだけの人が申し出たのかわかりませんが遅延による特急料金の払い戻しにも対応したようです。
こうしたことがなく、定時運行で何も問題ないことがいちばんですが、今回は不幸にもトラブルが発生した天候の悪い深夜に200人の乗客が乗り込んだ電車のお話となってしまいました。でもそれは、かわったすべての方々の優しさ、プライド、自覚、覚悟が多くの日本人に感動を与えてくれた心温まるお話となりました。
常磐線…常日頃愛用しているだけの私ですが、ちょっと誇らしく思えました。