赤穂の「第九」を聴く

櫛田孝司

年末恒例のベートーヴェンの『第九』の演奏会が12月7日にハーモニーホールで行われた。赤穂では、1994年にハーモニーホールの竣工を記念して『第九』演奏会が始まり、以後1年おきに行われているが、今回は穂愛留のメンバー4人も歌うということで聴きに行った。プログラムは、モーツアルトの「フィガロの結婚・序曲」から始まった。なじみの曲だが、延原武春氏の指揮によるテレマン室内管弦楽団の演奏はとてもすばらしく、雰囲気が一気に盛り上がった。次に赤穂市児童合唱団が合唱を数曲聞かせた。この合唱団は小学校1年生から高校3年生までのメンバー約50人よりなり、赤穂市の姉妹都市であるオーストラリアのロッキングハムでの海外演奏会に4回も行っている。年末の『第九』演奏は方々で行われているが、児童合唱団が賛助出演している例は余りないだろう。この子供たちの参加は、演奏会を和やかな、とても心暖まるものにして大成功だった。

第二部が『第九』で、今年、東京都交響楽団のコンサートオペラ「トスカ」でラ・スコーラの相手役を演じたソプラノの並河寿美さんをはじめ、オペラ界で活躍しているそうそうたるソリストを揃えて、すばらしい演奏を聞かせてくれた。80代の方も含む100人を超える「ハーモニー第九合唱団」の方たちも5ヶ月間に及ぶ猛練習の成果をこのときとばかりに懸命に歓喜の歌声を響かせていた。『第九』は、第4楽章の合唱ばかりが有名だが、今回は第3楽章までの曲もすばらしいと思わず唸ってしまった。管弦楽団の演奏がよかったためだろう。延原氏はこの管弦楽団を1963年に創立して、バロック音楽を中心に積極的に活動し、「文化庁芸術祭・優秀賞」、「サントリー音楽賞」などを関西で初めて得たほか数々の賞を受賞している。さらに、ベートーヴェンの『第九』の演奏でも、バロックの視点から迫ろうと初演当時の編成で当時のテンポに基づいて演奏するという世界初の画期的な試みを行い、広く知られている方である。

最後に、児童合唱団のメンバーも加わり、観客も一緒になって「清しこの夜」を合唱して、演奏会は幕を閉じた。ホールからロビーへ出ると、いま歌い終えた第九合唱団の団員が丸くなって大きな声で An die Freude (歓びの歌)を歌っていた。皆、達成の満足感にひたり、感激と喜びを観客と分かち合っているようで、何時までも去りがたい思いがした。本当にこの歌はいつ聴いても大きな元気と希望を与えてくれる。このように楽しく質の高い音楽を、たった2000円で聴くことができるのは赤穂ならではと、大変誇らしく、幸せに思いながら帰途についた。
(2008年12月30日)

赤穂の「第九」に参加して

松井芳子

30年位前から、私には年末のベートーヴェンの『第九』を大合唱したいという夢があった のです。『第九』合唱団員募集の文字を見て、胸がおどりました。そこで高齢者大学の先輩に話したところ、「貴女が参加したいなら、私達も参加しよう。練習は夜だし、送り迎え付きで」と言って下さいました。嬉しくて嬉しくて。

学生時代は聖歌隊でソプラノだったので大丈夫だと思っていたのですが、高音が長く続 くのには驚きました。ドイツ語もとてもむずかしく大変。でも発音、発声練習もしっかり教 わり頑張りました。白いブラウス、黒のロングスカートに身を包み、ライトを浴びての大 舞台。延原武春氏の指揮、テレマン室内管弦楽団の演奏で、ドキドキしながらも一生懸命大 きな口を開けて歌いました。

11月29日の地元紙『赤穂民報』の【2年に一度の『第九』本番に向け練習佳境】という記事には「友人に誘われて初参加した松井芳子さんは、『ドイツ語は難しいけど、多くの人と心を合わせ歌うのは気持ちがいいですね』とにこやかだ。」、と取り上げて頂きました。とても嬉しく、三十年来の夢がかない大感激。赤穂がとても好きになりました。ほんとうにどうもありがとう。
(2009年1月13日)

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