西播磨なぎさ体験周遊ツアー

櫛田孝司

  未だ暑さの残る9月11日、「塩作り体験と陸から海からなぎさの周遊」と銘打ったツアーが催されたので参加した。当日は快晴で、絶好のツアー日和。約20人の参加者は、シニアーが殆どで、グループ穂愛留からも6人が参加した。
 午前10時、JR播州赤穂駅をバスで出発。県立海浜公園の中にある赤穂市立海洋科学館に向った。そこで、昔の塩作りの説明を聞いた後、4人ずつの組になって、塩作りに挑戦した。塩水を鍋に入れて熱しながら、かき混ぜる。次第に煮詰まっていくが、火力のせいで大変な暑さ。塩作り職人の苦労を想像しながらかき混ぜること約20分。水分がほぼ蒸発してしまうと、思ったより多量の塩が現れる。鍋を火からおろして、スプーンでかき混ぜると、すっかり乾いて、細かい白砂のような塩が出来上がる。自分の作った塩をお土産に頂き記念撮影。さらに、海水から濃縮された塩水を作るさまざまな方法について、小さな塩田の実物を前に説明してもらった。
 11時半、御崎地区にある田渕記念館を見学した。田淵家は、文政年間、日本最大の塩田地主だった。茶にゆかりの深かった家で、四季の茶の催しに使われるさまざまな品が展示されており、簡単な説明を受けた。またバスで御崎の温泉地区を通り、瀬戸内海の美しい眺めを楽しみながら、海岸線に沿って走り、坂越に出た。バスの窓から古い町並みや天然記念物の生島、秦河勝を祭った大避神社などを眺め、瀬戸の三大祭りの一つである坂越の船祭りについて話を聞いた。坂越湾は天然の良港で、瀬戸内海の西回り航路の拠点として古くから発展した上、ここから東側には適当な島が無く台風から避難できないため、参勤交代で西国大名はここで船を下りたので、坂越は江戸時代に大いに栄えたとのことであった。
 次に高取峠を越えて、相生へ出た。相生は石川島播磨造船で栄えた町。ここの造船所は、一時は世界最大の造船所であった。はりまシーサイドロードで海岸線を走り、万葉岬の上に建つホテルに向った。ここからの瀬戸内海の眺めはすばらしい。詠み人知らずの歌の歌碑が立っている。柿本人麻呂や山辺赤人など万葉歌人が多くの歌を残しているが、それは海からこのあたりを見て詠ったもの。
 お昼を過ぎて、海辺にある漁師料理の店で昼食。刺身やてんぷらをはじめ、出てくる海産物がどれも新鮮でとてもおいしかった。ビールを飲みながら、たこの雄雌の見分け方についてなど話が弾んだ。食後、店の売り場を覗くと、シャコや貝、魚など驚くほど安い。海から上げたものがそのまま売りに出されており、運送費がかからないためとか。
 昼食後、船に乗って海へ出た。涼しくて気分爽快。なるほどここから東には島が無く、西と東で海の景色が全く違うことが実感できる。牡蠣の養殖いかだを見学。自然豊かな山が控え、そこからの栄養のため、このあたりの牡蠣は太ってとてもおいしいとの説明に納得。室津漁港に着岸。この町も見所が多いが、時間が無くスキップ。御津岬のホテルシーショアに寄った。このあたりは綾部梅林で有名なところで、冷えた梅ジュースは本当においしかった。遠浅で干潟が広がり、そこに朝日があたってさまざまな模様を作るので、カメラマンが集まるとのこと。海に面してガラス窓をふんだんに用いた美しいリゾートホテルで、結婚式に良さそうだ。若いカップルが誓いの言葉に署名した後、聴いてもらうというアベ・マリアその他を専属の歌手が歌って聴かせてくれた。大きなガラス窓から海を眺めながら、澄んだその声を聞くのは、最高の癒しだった。そこを最後に、バスは終点のJR網干駅に向かった。
 このツアーは、「西播磨なぎさ回廊づくり連絡会」の主催で、細かいところまで大変配慮が行き届いており、とても楽しめた。昼食がおいしく、海の上から陸を眺めるという普段はできない観光ができたこと、 それに音楽のプレゼントというサプライズなどが特に良かった。赤穂(御崎)−坂越−相生―室津―新舞子とつながったなぎさ回廊は、埋め立てていない昔のままのなぎさが残るという点で貴重であり、しかも眺めが美しく、 自然も豊かで、おいしい海の幸にも恵まれて、最高だとつくづく思った。この連絡会は、この優れたなぎさを将来にわたって守り、創り、楽しみ、さらには育むことによる交流・ネットワークづくりを目指してさまざまな活動を積極的に行っており、 この地域にとってまことに頼もしい存在である。 
     船の上から瀬戸内海の眺めを楽しむ      ホテルシ−ショアでソプラノ独唱を聴く
(2008年9月16日)

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