『四季苑』完成、赤穂城跡公園へ寄贈

1.赤穂に『穂愛留通り』を ― その3年間の軌跡 ―

                      穂愛留・植樹プロジェクトリーダー
                           立花 三千男

あれはもう3年も前になりますか‥…、その日、私達は櫛田前代表宅に招かれて庭に満開の
ミモザの花見だった。私はミモザの花がかねてのお気に入りだったから、赤穂のどこかに
「ミモザ通り」ができたらいいなあと、ほんの思いつきで言った記憶がある。 深い考えが
あった訳ではないし、ましてこの思いつきがその後、こういう形で結実していくなど夢
にも思わなかった。

しかし、この思いつき発言はメンバーの皆さんに共有されていくことになった。座談や
飲み会などで格好の話題になって話が弾んだ。「ミモザの花のあの強烈な黄色はどう
だろうね、 赤穂はまず桜だしね。桜一色だからかえって黄色が映えるんじゃないか、
あちこちから若者が華やかなミモザ通りにやってきて、赤穂の新名所にならないかな」、
などと折々の話題になり、それが願望から願望実現のために知恵を絞り、具体的行動
へと変貌していったのである。そのベースにあったものは、メンバー一同に「この赤穂
の地に何かで貢献したいという気分が濃厚にあり、その何かの具体像が必しも思い
浮かばない」といった事情がプラスに働いたと私は思う。

何かことを興す場合、一個人では到底無理だ。私達はもう現役世代ではないし、
それぞれは非力な老人パワーだ。しかし我々には知恵や経験、人脈がある。かくて、
それぞれの思いが赤穂の地に『穂愛留通り』実現へと収斂していくことになった。思いが
共有され、お互いが情報や知恵を持ち寄り検討を重ねた。最大の難問は植樹可能な
土地、しかも私達の思いに適うような土地が果たして見つかるかということであった。
公有地がベストだし、それも市内のしかるべき所が望ましいのだが、ここがクリアー
されない限り、穂愛留通りなど夢のまた夢である。思いや話題だけでこれはやがて
消えて行くのか。私は一時夢に酔いつつも悲観的になっていた。朗報はある日、突然
やってきた。これ以上はないという条件で。

提示されたのは赤穂城跡公園の一角である。このような朗報を誰が期待しえたで
あろうか。望外の知らせに私達の士気はいやでも高まっていった。専門家を交え、
樹木の選定や植樹時期や管理方法、予算規模など詰めていった。その過程で、
場所が場所だけにいろいろな制約があることも知った。 城跡公園を最終的に
管轄するのは国(文化庁)なんですね。だから私達の計画も赤穂城の全体計画
の中で位置づけされ、植樹が東側城壁の石垣とバランスが取れること、 要するに
に樹木が繁って石垣が隠れるような事態は御発度になる。その他、高木はいけない、
洋木もいけないなど。そこで、当局の要望に適うプランを固め市当局に申請 したのが
昨年の5月、その申請概要は以下の通りであった。


@場所、面積  史跡赤穂城跡の一角(別紙図面の通り)、1047m2
A樹木の種類  園庭部に花木苗木を10種10本
            歩道沿いに2種130本(ミツバツツジ60本、アジサイ70本)
   植樹の種類・開花期等は以下の通り。    
  花木名    開花期    花の色  
  ツバキ(椿)    冬期    赤  
  サザンカ(山茶花)    同上    同上  
  ロウバイ(蝋梅)    同上    黄  
  ヤマブキ(山吹)    3〜6月    同上  
  ミツバツツジ(三葉躑躅)    4月    ピンク a  
  ハナカイドウ(花海棠)    同上    同上  
  ヤマボウシ(山法師)    5月    白  
  アジサイ(紫陽花)    6月    ピンク  
  エノキ(榎)    同上    黄 b  
  ヌルデ(白膠木)    8〜9月    白 b  
  サルスベリ(百日紅)    8〜10月    ピンク  
  キンモクセイ(金木犀)    10月    黄  
    (a.ミツバツツジ:赤穂の山中各所に自生、春山を彩り、かねて市民多数から城中に植栽をとの提案が寄せられている。
    b.藩祖長直公所縁について:長直公は1645年(正保2年)赤穂に入封、1648年(慶安元年)の築城にあたり勝軍秘法の
    修法によって地鎮祭を行ったが、 この時、勝軍木(白膠木、別名かちのき)を築城地鎮の印とし、榎とともに武門繁栄・
    寿福増長・如意満足の縁起を祝った、との故事による。)

B植樹時期   平成24年2〜3月の植樹好適期
C名称     『四季の苑』(仮称)  ((その後、『四季苑』と確定))
Dベンチ    1〜2基の設置
E記念石碑   「『四季の苑』 植栽寄贈 穂愛留」と表示の予定
  ((その後、「『四季苑』 寄贈 穂愛留一同 市民有志」と確定))
F費用     穂愛留メンバーの浄財で賄う計画である。
  ((その後、穂愛留メンバーのほかに、穂愛留活動で親密な関係があり、
  本プロジェクトに共鳴いただける方からの拠金も一部頂戴した))
Gアドバイザー   助言・指導などを財団法人「赤穂市文化とみどり財団」に依頼
Hプロジェクトチーム   穂愛留メンバー4名を選任


昨年末の文化庁許可に基づき、今年1月19日に市から待望の許可書が発せられた。ようやく
私達の提案が認められたのだ。長い道程であった。この日の到来に備え準備万端勤しんで
きた私達は2月8日に地鎮祭を挙行、その後植樹に入り今日(3月10日)現在、ほぼ完了
している。今後の予定は3月28日午前の竣工式と同日夜の竣工祝賀会である。当初は
茶のみ話程度の小さな夢が現実になったのだ。

このプロジェクトは穂愛留メンバーの心を一つにした熱情があればこそであるが、
赤種市の関係各位、穂愛留に平素何かとご厚誼いただく各位からの有形無形の応援を
忘れることはできない。各位のご支援がなければ今日の感慨を得ることはなかった
だろうと思う。各位に改めて深甚なる感謝を申し上げたい。

『四季苑』は28日赤穂城跡公園に寄贈される。植樹は成ったが樹木はまだまだ若木
である。いずれ生育するにつれ多くの市民や観光客の目に愛でられるだろう。そのことを
私達は切に願っている。

私達のさらなる思いが結実した『穂愛留通り』の実現をはかりたいと願うものである。
                                      (2012年3月10日)

2.植樹の完了から竣工式、竣工祝賀会へ

                                  櫛田孝司
『四季苑』は予定通り完成し、3月28日午前10時から現地において竣工式を挙行
しました。当日は、ひんやりと透き通るような清々しいお天気に恵まれ、完成を
長く待ち望んでいた穂愛留メンバー十数名が集まったほか、市役所から明石元秀
副市長など数人の関係者がお見えになり、また拠金いただいた方にも加わって頂き、
共に『四季苑』完成を祝いました。皆、自然とほころぶ笑顔で、かわるがわる
スコップを手に、一日も早く開花するようにと木々に土をかけました。穂愛留一同の
竣工の喜びと満足感が北原代表の決まった黒いスーツ姿に表されている思いが
しました。考えてみますと、グループ「穂愛留」を結成して5年。初めて皆の赤穂を
愛する思いが形になった大事業でした。しかも、国史跡の赤穂城跡公園の一角
である、加里屋川沿いの遊歩道に面した絶好の場所を提供して頂き、赤穂市制施行
60周年記念協賛事業の一つにも認定され、私達の満足、これに過ぎるものはありません。

広々したスペースに多くの木々がちらばり、お城の石垣付近の雰囲気とマッチして、
想像していたものよりずっと立派です。御影石に手書きの文字を刻んだ記念の石碑も
建ち、見事な小公園になりました。植樹した百本を超すミツバツツジやアジサイは既に
つぼみがふくらみ、これが花開いたらどんなにか素晴らしい憩いの場になるだろうと
一同、期待に胸を膨らませました。神戸新聞、毎日新聞、赤穂民報 ()などたくさんの
マスコミの取材もあり、この「四季苑」の事業を取り上げて、大きく報じて頂きました。
また市の広報誌にも下のように紹介して頂き、多くの市民のお目にもとまったと
思います。
  

さらにその日の夕方から、赤穂ロイヤルホテルにおいて「四季苑竣工祝賀会」を開催し、
多くの皆様とご一緒に『四季苑』完成のお祝いをしました。そこでは、北原代表による
挨拶に続き、プロジェクト・リーダーの立花氏が着想当時の想い出から、3年にわたる
『四季苑』完成までの道のりを報告、「赤穂市文化とみどり財団」の岡島三郎理事長の
ご発声により、一同で『四季苑』完成を祝って乾杯しました。さらに、明石赤穂市副市長
ならびに穂愛留応援団として拠金して頂いた方々を代表して野村勝美様から祝辞を
頂戴し、合わせて、3通の祝電が披露されました。その後、会食に移り、しばらく
懇談した後、前代表の櫛田が「四季苑」作りをご支援下さった多くの方々に 謝辞を
述べました。続いて余興として、尾崎雄三様がすばらしいハーモニカ演奏を披露して
下さり、また司波多聞様が弾き語りを聴かせて下さって、参加者一同を楽しませて
頂きました。その後で、皆で記念撮影をして会を閉じました。

今後、四季苑の管理は「赤穂市文化とみどり財団」に付託されることになっていますが、
私達、グループ穂愛留は『四季苑』の樹木が無事生育していくのを見守る義務があり、
私達メンバーもできる限り、『四季苑』の維持・管理に関与していく所存であります。
支援者ならびに市民の皆様にも是非お気に留めていただきたく存じます。

なお、現在、『四季苑』誕生の経緯など、長く記憶に留め、多くの方々のご支援
についても、それを忘れないために、『四季苑』プロジェクトの企画から完成までの
一連の流れを記録して小冊子に仕上げる作業に着手しているところです。
                                       (2012年4月14日)

   竣工式でロウバイに土をかける(左から)明石副市長、
    北原代表、野村勝美氏
   竣工式の後、 『四季苑』の石碑を中心に記念撮影する
    穂愛留のメンバー達
    
    竣工祝賀会における参加者達の記念撮影        竣工した『四季苑』の全景
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